気の張る仕事が1つ一段落しました。
「京からかみ」を使った襖の張り替えです。施工前 3’×6’戸襖

張り替え前の襖。
蘭の花をあしらっていて、この紙もとても良い物を使っていた。
右側の方に薄く茶色でシミのようなものが出ています。
画像クリックで拡大します施工前 4’×6’巾広戸襖

画像ではわかり難いのですが、
全体にヤケ・シミ・下地のアクなどが出ている状態でした。
画像クリックで拡大します最初は手漉きの「越前和紙」でいく事になりそうでした。
これもかなり風合いの良い和紙だったのですが、
「蘭の花」にいろいろと思い入れがある方で、
やはり「からかみ」でいきましょう!という事になりました。
京からかみ 裁断前

これは「蘭の花ちらし」という柄。
蘭の花をモチーフにした伝統柄です。
紙は鳥の子紙の特漉き3号紙でベースの色は薄い鼠色。
蘭の花は淡い金。
上品で華やかさのある色使いだと思う。
正直、「ほ、欲しい!自分の物にしたい!」とさえ思った。
施工後

この家に納められている建具は、
どれも良い仕事をされていた。
左側の両開きの戸襖は閉める時に下の方が若干擦っていた。
柱や敷居に狂いは無かったので、長年の開け閉めによって
丁番が擦れて減り、建具自体がほんの少しだけ下がったと思われる。こういった場合、擦っている分だけを削るのですが、
15年前に建具職人が良い仕事をしているだけあって、削るにも気を使いました。
コンマ5mm単位で全体が真っ直ぐになるよう調整。
施工後 3’×6’入り口戸襖

なんともいえない!
一日中眺めていても飽きない!は言い過ぎかもしれないが、
鳥の子紙の風合いと蘭の花の淡い金に目を惹かれてしまう。
遠い昔に創られた物だが、現代の和室にあっても
何の違和感も感じなかった。
施工後 4’×6’巾広間仕切り戸襖

巾は1200mm高さは1800mmです。
このサイズは別注品で注文してから約2週間かかります。
この巾になるとやはりダイナミックというか、
柄の良さというのが引き立てられると思います。
今回の「からかみ」はとてもデリケートな素材だった。
それだけに実際に工事にかかる前から納品に至るまで気が張っていた。
下地の荒れを修理し、下張りにも時間をかけた。
もちろん今後の事も気になるところ。。。
こういった紙はしょっちゅう扱っているわけではありません。
ですから私たち自身も仕事としての依頼がないと、見本を見る事はできても
部屋の中での
襖としての「からかみ」の姿を目にする事はできません。
勉強不足なので、この柄が何年?何百年前に創られたのか分かりませんが、
現代の和室にあっても決して色褪せた感がないどころか、
部屋の空気を乱さない存在感と、新鮮さすら感じました。本物だからこそ今の世に残り続けてきたんだと思います。
何百年という伝統に裏付けられた本物には誰が見ても訴えかける何かがあると。
まあ、私のような若輩者がとやかく言ったところで
「からかみ」の良さは伝わらないかもしれませんね。
何にせよ、とにかく良いものは良いんだという事です。。。
今回それを目にする機会を与えてくれたご縁に、感謝。
こういった本物はもっと必要とされてくるような気がしています。
どんどん世に出し、人の目に触れ、見る人の「感性」を豊かにするのは、
襖屋としての使命なんだろうなと思います。
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